皆さんこんにちは、枝と申します。
早速ですが皆さんはOSO-18というヒグマをご存知でしょうか?
OSO-18は別名を「忍者グマ」とも言う凶悪なヒグマで、普通の個体と違って獲物への執着がないとされていたり、内臓やロースだけを偏食するという特性があったり、人前に全く姿を見せなかったりと従来に比べるとかなりイレギュラーな個体だったそう。
襲われた牛は60頭以上と、多くの酪農家の方々を困らせてきました。
……そんな凶悪個体OSO-18もつい最近成敗されまして、そのお肉が物流の波に乗って東京に辿り着いているとのこと。
という訳で今回は、OSO-18を食すため人形町にありますジビエ料理店「あまからくまから」に行ってきました。
目次
「あまからくまから」へ行くぞ!
ジビエ料理店「あまからくまから」は、人形町駅から歩いてすぐの場所にあります。
ちなみに人形町という場所がどんな場所か、東京に詳しい方へお伺いした所「上品な下町」とのことでした。
どうりで近所にあるパチ屋の換金レートが異常に低いわけだ!
階段を上るとゴールデンカムイのデカめのポスターがお出迎えしてくれます。
よく見ると杉本が銃剣をこっちに向けて突進しているように見えますが気にしないでおきましょう。
ゴールデンカムイに学ぶアイヌジビエコース
という訳で店内へ。
店内はアナグマの毛皮が飾られていたり、何らかの革で出来た袋にドライフラワーが飾られていたりと節々に野趣を感じる作りです。
余りにテンションが上がったので写真もぶれてしまいました。
・プクサのお浸し、 羅臼トド肉のたたき、蝦夷鹿の心臓のたたき
・チポロラタシケプ(いくらとジャガイモの煮合わせ)
・蝦夷鹿の炭火焼
・蝦夷鹿のチタタプ (オハウ用)
・カムイオハウ(ヒグマ鍋)
・白糠町の柳たこのアマムイペ(きびご飯)
・こけももアイス
今回は色々なアイヌの食事を体験できるコースを選択。
過去アナグマだのワニだのを食べては来ましたが、アイヌ文化の食材は見慣れないものばかりで、新たな発見が出来る事間違いなしです。
ちなみにテーブルの横にも金カムの原画っぽいあれが飾ってあります。
野田サトル、本当に絵が上手い。
プクサのお浸し、 羅臼トド肉のたたき、蝦夷鹿の心臓のたたき
そんなこんなで出てきました前菜は、左から蝦夷鹿の心臓、プクサ(行者ニンニク)、トドです。
まずトドのたたきから頂いたのですが、これが早速面白いんですよね。
この真っ赤なお肉を食べると哺乳類の肉食ってるな~というのを凄く実感するのですが、どこか脂の部分に「魚」を感じると言いますか。近いのはクジラとかになるんだと思いますが、それよりもクセのある肉なんです。ヒンナヒンナ(※1)。
蝦夷鹿の心臓は全体的に少しレバーっぽく、しょうがと共に食べるとこっくりとした旨味が口に広がります。うまい。
そして真ん中に鎮座ましますはプクサこと行者ニンニク。見た目は青菜、ほうれん草のような姿なのですが、いざ食べるとニラやニンニクをまろやかにした確かな旨味と、葉物野菜のかろやかさがあり、かなり美味しい。
他に代替が全く思い浮かばない驚異の食材だったので、機会があればぜひ皆さんにも味わってください。かなりレアな野草らしいですが……
(※1)「ヒンナ」という言葉は「美味しい」という意味ではなく、どちらかと言えば生命への感謝を伝えるような言葉だそうだ!
チポロラタシケプ(いくらとジャガイモの煮合わせ)
お次がチポロラタシケプ。「煮合わせ」と聞くと余り馴染みがありませんが、単純にじゃがいもといくらの和え物みたいな感じと捉えて頂ければ。
蒸したじゃがいものぽってり具合といくらの塩味が素朴な味わいで、派手さこそ無いもののかなりゴキゲンになれる一品です。醤油漬けいくらか塩漬けいくらかでも印象変わりそうですね~
セブ〇イレブ〇はカップ惣菜にチポロラタシケプを導入せよ!疾(と)く!
蝦夷鹿の炭火焼
蝦夷鹿の炭火焼。
これはもはや言うまでもなくヒンナです。
粒マスタードを付けるも良し、奥に添えてあるベリーっぽいものを付けるも良し。
一切れ一切れを嚙みしめる度、赤身の旨味と肉汁が口の中を満たしてくれます。
この日枝の心に居るはずだったのは杉本佐一なのですが、一瞬煉獄さんが顔を見せてくるくらいには分かりやすくうまい食べ物でしたね。
蝦夷鹿のチタタプ (オハウ用)
そしてここからが魂のアクティビティ、かの有名なチタタプ体験ゾーンなのですが、流石にチタタプのことは皆さんもご存じでしょう。
チタタプは代わる代わるに肉を叩き続け、なんやかんやにして食べるというアイヌの(というか金カムの?)超有名料理です。
これを体験できるというのが本コースの醍醐味ですから気合も入ろうという物。
チタタプを始める際にはこのアイヌマキリ2本とマタンプシ(はちまき)を渡されますので、しっかり身に付けて行いましょう。武器や防具は装備しなければ効果が無いぞ!
目の前にメノコイタ(肉団子を作る時に使うくぼみのあるまな板)が来たらチタタプスタートです!
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
(二刀流キャラって聞いた時に誰を思い浮かべるかでその人の通ってきたジャンルとか分かるよな……)
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
(でもここで妖夢とかキリトって言うと中学生みたいだよな……)
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
(まぁナウシカのユパ様ってことにしとこうかな……)
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ……
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ…………
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ………………
……そんなこんなで代わる代わる蝦夷鹿をチタタプし続け、完成した肉団子がこちら。
鹿肉の赤色にプクサの良い香りが食欲をそそります!
このままでもうまそ~!(※2)
(※2)店員さんから「生では食べないでください」と念を押されるので絶対にやめましょう。
カムイオハウ(ヒグマ鍋)
完成したチタタプを投入するのは、ヒグマ鍋ことカムイオハウ。
これまでの料理と打って変わって、鍋からはしっかりと獣の匂いが漂います。
適当にアクを取りつつ、チタタプも入れて煮えたところを頂きましょう。
そんな鍋の味付けはシンプルな昆布出汁なのですが、ヒグマの獣っぽさ、プクサの香り、根菜の旨味、チタタプから出た出汁がそれぞれを補完しあい、一つのまとまった味わいになっているのが非常に素晴らしいという印象を受けました。
情報量が多いハズなのに全く乱雑でない訳ですね。
噂のOSO-18も肉質はかなり柔らかく、舌で押しつぶすようにするだけで繊維が解けていきます。しかも脂に嫌味が全然ないというか、しっかり脂のノリを感じるのに重くないというか。これこそがヒグマ肉の美味しさなのかもしれません。
一生懸命チタタプした蝦夷鹿は鍋の中で最も「肉」を強く感じる味わいで、刻んだプクサとの相性が信じられないほど抜群です。プクサ、何に入れても美味しい気がします。マジでマジで。
オハウを食べていると、味変として店員さんがシケレペという香辛料のような実を持ってきてくれました(写真は当日頂いたパンフレットより)。
かんきつ類の仲間との事なのですが、山椒のような爽やかさとキンカンのような苦味を兼ね備えた面白い実で、オハウと一緒に食べれば元気になれる気がしました。
そんなシケレペと一緒に、もう一つ持ってきてくれたものがあるんですけど……
店員さんこれ……
オソマ(うんこ)じゃないか!!!
という訳で店員さんが食べられるオソマこと味噌を持ってきてくれました。
ヒグマの獣っぽさとオソマの香りは実に素晴らしいコンビネーションであり、チタタプもさらに一層美味しくいただけます。
店員さん!オソマ(うんこ)持ってきてくれてありがとう!!!!
白糠町の柳たこのアマムイペ(きびご飯)
そんな愉快なコース料理ももうすぐエンディング。
オハウとそう変わらないタイミングで到着したのがアマムイペ(きびごはん)です。
筆者は元々雑穀ごはんとかが好きな人間なので、穀物の素朴な味わいに心を躍らせながら頂いたのですが、一点不思議だったのはタコが甘い味付けだったんですよね。甘辛とかではなく甘く茹でてあるって感じで。
以前北海道に行った時、茶碗蒸しが甘くてカルチャーショックを受けましたが、これもそんな感じなんですかね?
こんな時にアシリパさんがいれば……
こけももアイス
コースの〆はこけもものアイス。
程よい塩味とこけももの強すぎない酸味がじんわりと沁みます。
一緒に出してくれたとうきび茶も優しい味わいでナイスでしたね。
おわりに
という訳で今回は、OSO-18を食べに、そしてチタタプをしに人形町「あまからくまから」へお邪魔した話でした。
料理の美味しさもさることながら、アイヌ料理のパンフレットを貰ったり、クマを食べましたシールを貰ったり、ホスピタリティも素晴らしいお店でしたよ!
帰り際に店長さんからOSO-18の詳しいお話をお伺いした所、OSO-18は体長・年齢からするとかなり肉質が柔らかったとの事。また、駆除されたヒグマ肉は多くが廃棄されてしまう為、今回市場に出回ったのはかなりのレアケースだったとのことでした。
自然との共生は長らく課題とされていますが、せめてこうした食事で命を弔うことが出来れば良いよな、と一般人である私は思います。
皆さんもチタタプをしたくなった時はぜひ人形町「あまからくまから」へ足を運んでみてください。
パーテーションの仕組みが初見だとマジで分からないことにだけお気をつけて!