枝と申します。
Vtuberという言葉にも目新しさが少なくなってきた今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
お気に入りのVtuberをアイドルのように推すのも一つ。お気に入りのVtuberの参加型配信で一緒にゲームをするのも一つ。まだ見ぬお気に入りのVtuberを見つける為、様々なVtuberを漁るのも一つ。とVtuber界隈の楽しみ方も様々になってきたように思います。
そんなVtuberに明るい皆さんはなんとなくお気づきの点かと思いますが、後発の企業Vtuberはその多くが前世で経験を積んだ、いわば「元プロ」ともいえる人が非常に多いですよね。
彼等の配信は見ていても危なっかしさが無いので非常に安心できますし、テレビやラジオのように常に流しておくこともできるような快適さがあります。
しかしながら、そうした元プロの企業勢だけが活躍する訳では無いのがこのVtuber界隈の面白いところでございまして。
という訳で今回は、私から見える現在のVtuber界隈をメタ的な視点を含みつつ少しだけ紹介していこうと思います。前世について触れるわけではありませんがこうしたメタい話が苦手な方はブラウザバックを推奨します。
目次
元プロの好例:ホロEN一期生
まずは元プロ企業勢の例として「ホロEN1期生」を見て行きましょう。
彼女たちは2020年9月9日のデビューから、既に全員が登録者数100万人に届こうかという凄まじい勢いを見せています。いくら企業勢で素晴らしいガワを持っていようと、当の本人に何かしらの素晴らしい能力が無いとそうそう達成できるものではありませんよね。
そんなホロEN1期生の皆は分かりやすく長けた一芸を持っています。Calliのラップ(彼女のチャンネルだけは公式Musicチャンネル)とInaのイラストなんかが非常に分かりやすいでしょうか。
これは「今までそれで食ってきていた人」だからこその能力値でありまして、いわば「強くてニューゲーム」にも近しい物なんですよね。
そんな彼女たちは配信自体も初配信から非常に手の込んだものでございまして、
- 動きのある待機画面
- SE付きのトランジション
- 特注の背景・オーバーレイ
- 凄まじい完成度の歌の動画(マジで良い)
というこれらが1発目の配信から揃っていた訳です。
そりゃあ見栄えはするわ危なっかしさは無いわで素晴らしいですよ。
黎明期の企業ライバー
次に見て頂くのがVtuber黎明期にデビューした企業勢の初配信。
そもそもドの付く配信素人であり、かつVtuberの配信フォーマットや界隈の雰囲気というのがまだ固まっていない事も相まってにじさんじ一期生・二期生の初配信ったらもう危なっかしいったらありゃしません。
しかしそんなにじさんじも、ゲーマーズの参入辺りからは「配信とは何か」を理解している人々が次々と入ってきます。先ほどあげたホロENとベクトルは違えど、叶と葛葉なんかは「元プロ」と言っても良いでしょう。
このように後続の企業Vtuberには続々と配信のプロが参入していき、結果として視聴者の目も少しづつ肥えていくわけです。
実績のある「プロ」を引き抜く理由
さて、それでは話を少し動かしまして後続の企業Vtuberに元プロが多い理由の考察をしていきましょう。それには様々な要因があるのですが、今回はVtuberに欠かせないイラストレーターの意見を見てみます。
まず個人で頑張ってみて、それで「私はこういう人間です」というポートフォリオができてからガワの依頼をしてきて欲しい。「何をしていた人なのか」も「これから何をしていく人なのか」も分からない人に、はいどうぞと絵を描くことはなかなか難しい。
絵を描いてガワとして提供する以上は「親:伊藤ライフ」の看板を与えることになる。そんな看板を与えた矢先に「やっぱVtuber面白くないからやめますw」と言われてしまったら、親である伊藤ライフだけでなく、それを楽しみにしていた多くのファンを裏切る形になってしまう。
単なる「イラスト」と「Vのガワを担当する」というのは完全に異なるものである。
伊藤ライフ
これは伊藤ライフ大先生が配信中に述べた話を要約したものなのですが、ここから読み取っていきたいのは企業Vtuberが背負う必要のある看板の重さについてですね。
何かしらの企業に勤める以上はまず企業の看板を背負うことになります。それがupd8なのかいちからなのかカバーなのかは分かりませんが。それに加えてVtuberはイラストレーターさんの看板も背負うことになります。
その2枚看板を背負った上で活動をし、数字を生み出していかなければいけないというわけですから、今後新たに「にじさんじ」や「ホロライブ」といった企業勢のVtuberグループに入ろうかという人は、かなりの責任とそれに応えられるだけの個人の能力を求められることになるでしょう。
そうして活動を開始しても、致命的なミスをしようものなら「真堂雷斗」「魔乃アロエ」のように周囲を巻き込んでその世界から足を洗う必要が生まれる……という。
「面白そうだからやってみたい!」「よし!じゃあデビューさせてあげよう!」
という世界は、少なくとも企業にはもう見込めないのでしょう。これはVtuber界隈という物が凄まじい勢いで発展し、視聴者の望むハードルが非常に高くなったという事でもあります。
「箱の力」と「親の力」があれば多少のスタートダッシュは切れますが、それ以降で埋もれてしまうという訳ですね。
一方個人Vtuber
そんな企業勢とはうってかわって「自分のやりたいこと」をできるのが個人のVtuberです。
活動の方法、頻度、熱の入りよう、全てが本人に任されているのは自分のなりたい自分になるというVtuberの原初のコンセプトを残し続けていると言ってよいでしょう。
上記で触れた渋谷ハルはゲームでの活動を中心に商業的にも大成功している一例。個人のVtuberの中では頭一つ飛びぬけた活躍をしていますよね。
渋ハルとは全く違うベクトルですが、同じ個人のVtuberでもこの3人は自分のやりたいことを突き通している例。
私は彼女たちの動画や活動が非常に好きです。何故なら数字を稼ぐためだけにやっている訳ではないんだろうなということがありありと伝わってくるから。「誰に伝わるか一切分からない創作活動」というのは非常に素晴らしいものなんですよ。
他で今アツいのはブギボこと「BOOGEY VOXX」でしょう。正確には個人勢じゃないのかもしれないけど。
彼等のような存在こそが「Vtuber=絵が動いて喋ってるだけ」というステレオタイプで面白くない文脈を断ち切ってくれるのではないかと(勝手に)思っています。
Vtuberの音楽活動ってただの人間には持ちえないバックグラウンドや関係性を月日と共に増やしながら行っていくものなんですよね。
だからこそ見える景色が、だからこそ聞けるサウンドがあるんですよ。ただアイドルや配信者が音楽をカバーする感覚じゃなくてね。
このアルバムの『Drippin' Life』を聞いたときとかはもうマジで震えました。
閉じコン問題について
Vtuberを語る上でどうしても避けられないのが閉じコン問題でしょうか。
100万人から先の登録者が伸びないことであったり、登録者が100万人いても同時接続が1万にも届かないことであったり。まだまだヲタク文化であることは否定できませんからね。
ただ、これもようやく「時間の問題なのかもしれないなぁ」とは思えるようになってきましたね。そう思えた理由はやはりCRカップを始めとしたゲーム文化・競技シーンとの癒着です。
叶がもこみちとゲームやる世界線があるくらいですし、ディスプレイを飛び超えた関係性が産まれるのもそう遠くない未来なのでは無いでしょうか。
ね!
おわりに
という訳で今回はなんや色々と書きました。
これはあくまで「私が」見た「現段階の」景色を書いただけに過ぎませんので、まだまだたくさん面白くてワクワクするような出来事の芽が眠っていると思います。
これからも楽しんでいきましょう。