枝と申します。
皆様は「小説家になろう」というサイトをご存じでしょうか。
『リゼロ』『このすば』『転スラ』『ダンまち』といった有名作品を輩出したこのサイトは、初心者でも簡単に投稿ができるので「自分で文章を書く」という文化的営みの裾野を広げる一役を担っています。
しかし、多くの初心者が小説を投稿していることもあるので定期的に様々な話題を巻き起こすことがあるんですね。
その一つが「余りにもタイトルが長すぎる」という事。
今回はそんな「なろう小説タイトル長すぎ問題」についてお話をしていきます。
目次
余りにもタイトルが長すぎる
画像をご覧いただければわかるように、ファンタジーのランキング上位小説はやたらタイトルが長い傾向にあります。
タイトルというか最早あらすじです。
どうしてこうも長ったらしいタイトルの作品が多くなってしまっているのか。その理由を見ていきましょう。
読者の思考の変化
まず挙げられる点として、読者層の考え方が変化したという点があります。
SNSやインターネットの普及でレビューや評価というのは誰でも簡単に見ることができるようになりましたよね。またyoutubeやアマゾンプライム、huluにネットフリックスにとコンテンツを提供するアプリやサイトもかなり増えてきました。
それゆえに、消費者の間では時間を浪費しないために知らないものやよく分からないものを避けるという傾向が生まれました。
そんな考えの読者が増えた今では「どういう話なのか読む前から分かるもの」が好まれるのは当然の結果と言えます。
とりあえず人の目につく
「小説家になろう」というサイト全体についても少し考えてみましょう。
毎日更新され続ける小説家になろうという大きなサイトの中で、初心者の書いた小説が人の目につくためには相当の努力が必要です。
それに加えて先ほど述べた「知らないものを避ける傾向」がありますので、そもそも中身を読んでもらえること自体が難しい状況なのではないでしょうか。
例えばの話ですが、ノーベル文学賞も芥川賞も受賞できるような超絶面白い小説を小説家になろうに投稿したとして、そのタイトルが『東雲』とかだったら。
……まぁ人の目につくことは無いでしょうね。何の話なのかさっぱり分かりませんし。
今の世の中で作品を生み出し人の目に届けるには、口コミやSNSでの拡散を望まなければなりません。
「この小説のタイトル長すぎワロタw」という話題でも立てば、それはかなりのアドバンテージになりますからね。
まず読んでもらう、というファーストステップを踏むためには分かりやすく人の目につきやすいタイトルを付けなければいけないわけです。
ジャンルの中で差異を作れる
小説家になろうというサイトの中ではファンタジーが非常に人気のジャンルです。しかしそれらの作品における「設定」というのはほぼ全てが同じようなものなんですよね。
MMOのように様々な種族が居て、剣と魔法が有って、レベルがあって、というような感じ。
そんな枠組みの中で初心者が弄れる設定というのはせいぜい「ホイミかケアルかディアか」程度のものです。そして読者もそれを理解しています。
じゃあ同じような設定の小説が大量にある中でどうやって他と差異を付けるか。
その答えがタイトルになってしまうわけですね。
リンクの当たり判定が増える
これは正直あんまり関係ないと思いますが、タイトルが長ければ長いほど表示される面積も増えますよね。つまりそれはタップの当たり判定が増えることにもつながります。
先ほど適当に作った
『東雲』
というタイトルと、これまた適当に作りますが
『昨日まで一切魔法を使えなかった俺が、突如神にギフトを与えられたので大賢者並みの魔法使いになって今までバカにしてきた奴らに報復したり世界を救ったりするw~落ちこぼれの女の子もいっぱい寄ってきてウハウハな件~』
とどちらの方が当たり判定が大きいかという話。
非常にコスいようにも思えますがそれでPVが増えるのであれば立派な戦略ですからね。
読者のふるい分け
では実際にあなたが小説家になろうというサイトで『昨日まで一切魔法を使えなかった俺が、突如神にギフトを与えられたので大賢者並みの魔法使いになって今までバカにしてきた奴らに報復したり世界を救ったりするw~落ちこぼれ女の子もいっぱい寄ってきてウハウハな件~』という小説を目にしたら中身を見てみたいと思うでしょうか?
いいえ、と答えた方はそもそも筆者の狙っている読者層にフィットしていません。
このようにタイトルのみで自分の狙った読者層だけを取り込めるというのがこのクッソ長いタイトルの非常に有利な点です。
絶対にそっちのほうが高評価が貰えますし固定の読者もつきますからね。
簡単にタイトルの変更ができる
長ったらしいタイトルである程度固定客を獲得したら、自分の納得がいくカッコイイタイトルに変える。
小説家になろうというサイトではそういった柔軟な運用も可能で、実際に連載途中でタイトルを変える小説は多いらしいです。
……逆もまた然りですが。
おわりに
以上、なろう小説のタイトルがやたら長い理由についてでした。
小説ではありませんが私もこのブログを書いているときにタイトルでかなり悩むので彼らの苦労が分かります。
少しでも多くの人に読んでもらえるのが一番嬉しいですから。
オマケ程度に私の一番好きな「素晴らしいタイトルの小説」を貼っておきますので、そちらも一度読んでみてください。