枝と申します。
「ゲームは国境を超える」とも言いますが、そんな中でも多くの人々をひきつけてやまないジャンル、それがRTA(Real Time Attack)。
数百回、数千回にも及ぶゲームプレイ。そしてたゆまぬ努力と研究の結晶はまさに現代を代表するスポーツと言えるでしょう。
そんなRTAをより楽しんで見るために、今回はRTAにおける様々な専門用語やその元ネタなどを皆様に紹介しようと思います。
これを見て、RTA動画を見て、最後はぜひ走者としてRTAの世界に踏み入りましょう!
目次
RTAとは
まずRTA(Real Time Attack)とは、簡単に言うと「いかに早くゲームをクリアするか」を競うものです。
ゲーム内で表示されるプレイ時間のことをIGT(In Game Time)と言いますが、そうではなく現実時間でのタイムを計るのがRTAの特徴ですね。
つまりゲームをポーズしてる間も、ゲームをロードしている間も、トイレに行っている間もタイムの計測は進むという事です。
長いゲームだと10時間を超えるRTAになるので、そういう場合はスキップできないような長いムービーでトイレに行く人がいますね。
ムービーが終わってもトイレから帰ってこない人がいるのもまた一興。
淫夢要素について
biim兄貴というRTA界隈の先駆者の影響で、ニコニコ動画に投稿されているRTA動画には真夏の夜の淫夢シリーズの音声素材やネタが非常に多く含まれています。
苦手な人は無編集版や海外のRTA動画を見ましょうね。
用語集
そんなRTAにはある程度の専門用語が存在します。まずはしっかり押さえておきたいものをご紹介。
any%
any%(エニィパーセント)は大雑把に言えば「とりあえず早くゲームをクリアする」といった意味あいですね。ボスを倒さなくても収集アイテムを取らなくても大体ヨシ。
例としては「スーパーメトロイド」のany%が一番分かりやすいでしょうか。このゲームには「アイテム取得率」という数字が存在するのですが、any%であればそんなのお構いなし。
逆に「100%」と言えば「アイテムを全部回収してからクリア」っていう事です。
1つのゲームでもいろんな楽しみ方があるわけですね。
レギュレーション
レギュレーションとはRTAをする上で守らなければいけないルールの事です。
これは先ほど紹介した「スーパーメトロイド any%」のレギュレーション。使ってはいけないグリッチ(バグ技)やタイマーをスタートするタイミングなど細かく設定されています。
これらを守らないと公式記録にはならない訳ですね。少なくともspeedrun.comというサイトに名前を刻むにはこれを守らないといけません。
セットアップ
セットアップとは「難しいグリッチを成功させるために行う特定の手順」の事。いわゆる儀式ですね。
RTAにおいては数フレーム、数ピクセル単位で調整しないと出せないグリッチがしょっちゅう出てくるので、走者の精神衛生とっても大事なものです。
ちなみにフレーム単位の技を「Frame Perfect」、ピクセル単位の技を「Pixel Perfect」と言います。1/60秒とか1ドットとかの世界ですよ。
「ゼルダの伝説 風のタクト」におけるセットアップが非常に分かりやすいかなと思うのでぜひ。
ガバ
いわゆるミスのこと。運が悪いとガバ運、コントローラーの調子が悪いとガバコンなどと言われることもあります。
細かなガバから特大のガバまで、100人いれば100人のガバ。
競技性をつき詰めたRTAであればガバ=低評価にもつながるんですが、ニコニコ動画に上がる動画の多くはガバを楽しむものも多いので「走者の愛嬌」が試される物でもあります。
後述する「メガトンコイン」「血の盾」「8462」はまさに高純度濃縮還元のガバと言えるでしょう。
チャート
最速でクリアする為に「いつ何を買うか」「何レベルまで上げるか」「次にどこに行くか」といったクリアまでの道順を記録したものをチャートと呼びます。
長いRTAになればなるほどこのチャートをしっかりと守らなければ後で取り返しのつかない特大のミスが生まれてしまうという訳ですね。(後述)
お約束のコメント
日本でRTA界隈が活発なのはニコニコ動画の影響も非常に大きいです。なのでニコニコ動画に投稿されるRTA動画には「お約束」のようなコメントがいくつか存在します。
今回はそれも解説していきますね。
メガトンコイン
日本でRTA界隈を活発にした張本人とも言える有名人物、biim兄貴の持ちネタ(?)がこのメガトンコインです。
余りにも鮮やか、そして取り返しのつかない超特大ガバゆえに伝説とされています。
本来であれば「売らなければいけないアイテム」を売り忘れたゆえにダンジョンを一からやり直すハメになる。しかも解説ではしっかり売ったつもりでいるというのが余りにも強烈。
それ以来RTAにおいて何かが落ちる時は「メガトンコイン」とコメントされるのがお約束となっています。良識と常識の範囲内で使いましょうね。
血の盾☆
これもニコニコ動画のRTA界隈では有名なもの。
7時間半という長時間RTAの最後に、うっかりアイテムの取り忘れをしていた為めちゃくちゃ長い距離を戻ることになるという特大のガバです。
パート4で取り忘れ、気づいたのはなんとパート16。
チャートはちゃーんと確認しておきましょうね。
8462
これはこちらの動画での出来事です。
数字を入力するという技術も練習も要らない(はず)のところで渾身のガバ。
この動画以来「4桁の数字=8462」という概念が視聴者に植え付けられることとなりました。
上へ参りまーす
Dead Space2 RTAでの出来事。
プレイ時間も2時間近くになり、疲労がたまって来たところでこの分かりやすいガバ。
ゲーム進行の上でエレベーターの上下運動をする必要は一切ありません。
ちなみに先ほど紹介した「8462」の動画においても必要の無い上下運動を見ることができます。
鎖マン
ファイナルファイトのパクリゲーであるバーニングファイトというゲームに登場する敵キャラ。
鎖マンはプレイヤーにとって最悪の性能をしており、通常プレイでもRTAでも非常に厄介な性能をしています。
それゆえに、他のゲームでもRTAを進めるうえで邪魔でしかないキャラクターの事を「鎖マン」と呼ぶことがあるんです。愛と憎しみを込めて。
同じようにRTAでは動きが早く攻撃力が高いことの多い「犬」を嫌う人が非常に多いですね。
嫌いな敵キャラに対するあだ名の付け方も見どころの一つ。
ナイスセーブ、ショーターイ
この動画は「悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブラビリンス」というゲームのTAS(Tool-Assisted Speedrun)クリア動画にウイニングイレブンのジョン・カビラと北澤豪の音声データを付けたものです。
つまりRTAでは無いんですが、あまりにも早すぎるゲーム展開ゆえにテンプレコメントが続出、RTA動画にも流用されるという事になっているんですね。
その中で登場するのが「セーブしました。ナイスセーブ。」というジョン・カビラのセリフ。
あまりに汎用性が高いのでコメントでしばしばRTAに輸入されています。
ロードを挟んでタイトルから始める時に「ショーターイ」という掛け声が入るので、同じようにロードをする場合に使われることがあります。
この動画シリーズはRTAでないにもかかわらず「ズサーズサーズサー」「ドゥエ」「NKT」などRTA動画のコメントに大きな影響力があるので是非ご覧ください。
ここで草食えるんで
これはデモンズソウルというゲームのクリア動画におけるワンシーンですね。
短いながらにも何故か視聴者に凄まじいインパクトを残したため、草を食えるシーンではよくコメントされています。薬草とか。
🍅三
しょうも無いオヤジギャグが出てきたとき、なぜかコメントで飛んでくるトマト。これはSCP-504という創作物が元ネタです。
この漫画が非常に分かりやすいのでご覧ください。
などなど。他にも様々なお約束のネタがありますので詳しくはbiim兄貴のニコニコ大百科をご覧ください。
あとは淫夢の語録がたっぷり。
オススメのRTA動画
ガバがガバを呼ぶガバガバのRTAがこの動画シリーズ。
RTA(リアルに楽しく遊ぶ)という動画ジャンルを開拓していると言っても過言ではありません。
ギャグセンスと編集力に全てを振り切ったこの動画は、ドンキーコング64をやったことがない人でも楽しめるのでおススメです。
スタイリッシュアクションゲームであるDMC4。そのオマケモード、ブラッディパレスのRTAがこの動画です。
DMC4をプレイしたことのない人でも見て楽しめること間違いなし。なぜならめちゃくちゃスタイリッシュだから。
しかも1時間の間ずっと1/60秒にしか出せないテクニック(MAX ACT)を使っているので技術も凄まじい。ぜひパート1だけでも見てみてください。
僕もやってみよう!と思えます。実際やってみるとこんな上手くできないんですけどねマジで。
次に「P.T. RTA 11分46秒」というこの動画。
ちゃんとプレイすればめちゃくちゃ怖いゲームも、最速でクリアすれば怖くない。
短いのでさっくり見ることができるのもいいですね。
エイリアンをこよなく愛する人物が、エイリアンのゲームを最速でクリアするこの動画。
ゲームのみならず映画への愛も溢れているので一本の動画として非常に面白いです。
おわりに
以上、今日から見始めるRTAについての用語解説や紹介でした。
RTA用語に関してはこちらのサイトも非常に参考になります。
色んなネタが分かればただでさえ面白いRTA動画がさらに面白くなりますよ。