
枝と申します。
私は誕生日になると変な食べ物が送られてくるというパッシブスキルを持っているのですが、今年はお友達からダチョウの卵が送られてきました。
当然ながらに人生で初めてダチョウの卵を調理したので、頑張って色々と加工をした記録を残しておきます。ダチョウの卵が送られてきた皆さんはこれを見て料理してみてください。
目次
「美里オーストリッチファーム」からダチョウの卵がお届け

送り主に友達の名前、品名に「国産ダチョウ食卵」とだけ書かれて、クール便にて送られてきたダチョウの卵がこちらです。この卵は美里オーストリッチファームという日本国内のダチョウ牧場から送られてきた商品のようですので、品質面・衛生面に対する不安はありませんでした。
サイズはハンドボールより小さいくらいですが、触っただけでホーローを彷彿とさせるひんやりとした硬さが伝わってきますので、鶏卵のそれとは明らかに違うことが肌で感じられます。
ハンマーとライトが必須

ダチョウの卵を食べるには、堅牢な殻を打ち破ることから始めなければなりません。
手始めにライトを卵に近づけ、「気室」なる空白のスペースを見つけましょう。具体的にはスマホのライトなどを卵の先端どちらかに近づけると光を通して明るくなる場所があるので、その個所に対してハンマーを入れ、殻を割っていくという訳です。
少なくともご飯を作る前にやる作業とは思えなくてウケますね。

無事に気室を見つけたら、百均で買ったハンマー(110円)で穴を作ります。鶏卵なら余裕で割れてそうな力を入れてもダチョウの卵はびくともしません。木板に釘を打ち付けるかのような正確無比のスイングで卵にヒビを入れてください。

一旦ヒビを作れたらあとは外の殻をむしり取っていく感じになるのですが、ここもやはり結構な思い切りが必要です。また、写真でご覧いただけている通り、殻には結構な分厚さがあります。東ハトのハーベストよりもちょっと分厚いくらいですかね。
この際、殻と一緒に薄皮が剥けて中の白身が溢れることがあるので、皿を下に敷きながら殻を剥いていくのが良いでしょう。

卵にいい感じの穴が作れたので、ついにそのコンテンツを露わにします。
ようやくお目見えとなったダチョウの卵ですが、卵黄ですらソフトボールほどの大きさがあり、それを覆う卵白に至ってはラーメンどんぶりを簡単に満たすほどの物量があります。外見からして量が多いのは想像に容易いことでしたが、まさかここまで全てのスケールがデカいとは……
後のことも考え、余裕のある大きいボウルか鍋に出すことを推奨します。
和風に食べる

めったに手に入れることの無いダチョウの卵、インパクト重視で目玉焼きにしても面白いは面白いのですが、せっかくなので色々な料理にしてその可能性を探ってみようと思いました。
ということでダチョウの卵を一度卵液の状態にします。溶いているときの感触などは鶏卵と大差ないのですが、気持ち卵の香りが強いような気がせんでもありません。また、鶏卵1つを卵液にしたときと比べて、少し粘度が強いようにも感じました。卵白の割合とかが違うのかもしれませんね。
家にあったおたま一杯でちょうど60g、鶏卵1個分くらいでしたので、基本的には鶏卵のレシピ通りに色々な料理を作っていきます。
ダチョウ卵の茶碗蒸し

最初にダチョウの卵で作ってみたのは私の好きな料理である茶わん蒸しです。
ダチョウの卵ならではの性質があるのかどうかも分からない状態でしたので、ひとまず分量は鶏卵のレシピとほぼ同じようにやってみました。おたま1杯程度の卵液を塩と白だしで味付けし、水で薄めます。そして事前に加熱しておいた鶏肉としめじが入ったお皿に注ぎ、かるくラップをしてレンジでチンしていくという流れですね。
普通のレシピだと200wで12分くらいチンすれば良いみたいなのですが、普通の茶わん蒸しを作る際よりも皿が大きいうえ、ダチョウの卵は鶏卵に比べて少し固まりにくいようでしたので、結局200wで30分近くチンすることになりました。
肝心の味はというと、卵の風味がふうわりと香る、普通に美味しい茶わん蒸しになりましたね。さらに言うと、卵のこってり感が抑えられており、ややさっぱりとした味わいなのが食べやすさに直結しているように感じられました。
これで既にダチョウの卵は普通にウマいという確信を獲得。料理にも本腰が入っていきます。
ダチョウ卵の親子丼

次はダチョウ卵の親子丼です。ある程度炒めた玉ねぎ、鶏肉、しめじをほんだし、しょうゆ、みりん、砂糖などを入れただし汁で煮て、そこにダチョウの卵液を流し込んでとじます。
先ほど鶏卵に比べて固まりにくいという話をしましたが、より具体的に言うと鶏卵みたいに綺麗にふわっと固まらない感じですね。どうしてもスクランブルエッグ的な固まり方をしてしまい、半熟のひらひらした状態にするのが難しいみたいです。まぁ見た目は少しぎこちないかもしれませんが、味はきちんと美味しいので問題無です。卵の香りと甘辛いだし汁の味わいがご飯にも相性ピッタリ。
ちなみにですが、ニワトリは新顎類、ダチョウは古顎類と生物の分類上結構違うみたいでして、これは人間とカモノハシくらい違うようです。少なくとも親子じゃないことは明らかですね。
ダチョウの錦糸卵で海鮮丼

和風ならなんでも行けるの?という点を調査するべく、ダチョウの卵で錦糸卵を作り、刺身を乗せて海鮮丼として食べてみました。
結果として、卵の香りが強いので醤油と相性が良く、このフォーマットでもしっかりと活躍してくれました。また、味わいがあっさりしているので魚の事も邪魔しておらず、むしろ鶏卵の錦糸卵より良いかもとすら思いましたね。いくらやサーモンといった濃厚な味わいの具材と相性がよさそうです。
中華風に食べる
ダチョウの卵とトマトの炒め

続いてはダチョウの卵を中華風に調理して食べてみます。
こちらはダチョウの卵とトマトを炒めたシンプルなもの。味付けは創味シャンタンと少しのしょうゆ、塩コショウです。先に多めの油で卵を炒めておき、ある程度火が通ったら別皿へ避難。くし切りにしたトマトをしんなりするまで炒めてからダチョウの卵を戻し入れてサッと和えます。
主な材料は2つだけ、やってることも炒めただけと超ズボラ料理に見えるこちらの料理ですが、個人的には一番レベルに美味しかったのでオススメとさせていただきます。軽い味わいのダチョウの卵にトマトの爽やかな酸味が華を添え、そこにコショウのパンチが効いているので全体のバランスがグレートです。
ダチョウの卵は量が多いので気分次第で卵を多めにできるのもGOOD。ぜひ試してみてほしいレシピですね。
ダチョウ卵の木須肉(ムーシーロー)

こちらは中華料理屋でお馴染みの木須肉(ムーシーロー)です。湯通しして油を落とした豚バラ肉、小松菜、きくらげを創味シャンタン、塩コショウなどで炒め、先ほど同様に避難しておいた卵を加えてサッと火を通した一品。最後にごま油と醤油で香りづけをしました。
先ほどのトマト炒めが美味しいのでこちらも当然のおいしさです。豚バラのジューシーな食感、きくらげのコリコリした食感、青菜のシャキッとした食感、そしてダチョウの卵のふわっとした食感。噛み心地の違う4種の具材が中華風の味わいで一つにまとめられており、統一感も◎です。
ダチョウのチャーハン

たまたま冷蔵庫にあったスペアリブのコーラ煮を入れた、ダチョウの卵とスペアリブのコーラ煮チャーハンです。情報量が多いですね。
こちらもやはりダチョウ卵の軽く優しい味わいが活きた料理となっており、コーラ煮のしっかりした味わいとの足し引きがちょうど良い感じです。中華料理のセオリーに則って結構な油をつかったのですが、ダチョウの卵ならではの良さなのかあまり重い感じはしませんでしたね。
洋風に食べる
ダチョウの卵のキッシュ風スパニッシュオムレツ

玉ねぎ、ピーマン、しめじ、小松菜、ベーコンをバターでソテーし、そこに卵液を流し込んで上からチーズを散らします。あとは蓋をして弱火でじっくり焼いたら完成するのがダチョウの卵のキッシュ風スパニッシュオムレツです。パイ生地を使ってないのでキッシュではないし、じゃがいもを使っていないのでスパニッシュオムレツでもないという中途半端な料理ではありますが、冷菜としてのポテンシャルは抜群でした。
バター、ベーコン、各種野菜の複雑な味わいが豪華な感じなのですが、ダチョウの卵というシンプルな材料でまとめてあるのでやかましい感じが全然無く、ちょうどいい感じの脇役としてちょうどいい感じの仕上がりなんですよね。こういう「つなぎ」として使う場合のダチョウの卵は、非常に優れた働きをしてくれるのがよくわかりました。
スイーツにする
ダチョウの卵のプリン

ここまで来たら甘いのもどうだということでダチョウの卵でプリンを作ってみました。やはり固まりにくいので加熱は鶏卵を使う場合よりも長めに。
材料はダチョウの卵・牛乳・砂糖で作ったのですが、個人的には生クリームなどを加えたほうが美味しいのだろうなと感じる出来上がりになりましたね。これはダチョウの卵がさっぱりしている、言い方を変えればコクが少ない為、デザートっぽいこってり感を出したければ他の材料の力を借りたほうが良いのだろう、という考えに基づきます。
そんなにオススメはしないかも。
ダチョウの卵のエッグノック

ちょうどダチョウの卵を調理していたのがクリスマス付近だったので、季節感を出すべくエッグノックも作ってみました。これはプリン同様の材料、卵・牛乳・砂糖を加熱して最後にシナモンを添えた飲み物でして、海外ではクリスマス付近に飲むらしいです。
感想は先ほど同様にコクが足りないなぁという感じでしょうか。生クリームを入れたり、洋酒で香りを出すなどすればデザート感も強まるとは思うのですが、このシンプルな材料ではイマイチ振り切った感じがありませんでしたね。
あと、そもそもこのエッグノックという飲み物自体が結構好み別れそうな感じしてます。カスタードクリームの幼生期みたいなものなので、慣れない味と言えば慣れない味ですね。
おわりに
ということで今回は、友達から届いたダチョウの卵を古今東西あらゆる調理法で調理、美味しく食べました。
殻を破るのに何らかの鈍器が必要になること、そして物理的に量がバカ多いことを除けば、後はおおむね鶏卵と同じ調理法で美味しく食べることができる食材ですので、そんなにビビる必要はないと思います。
2026年にアニメ化が決定した「鉄鍋のジャン」でも題材となったダチョウ料理。21世紀の食料事情を見越して皆さんも食べてみましょう。