
枝と申します。
カイジでお馴染み福本信行の作品でも、屈指の傑作と言われている「銀と金」を全巻読みましたので感想です。
目次
心理戦がおもしろかった(小並感)
まず「銀と金」という作品、当然ながらにギャンブルをする漫画です。
ただ、主人公の森田は普通に密室で殺人鬼と戦わされたり、何も持たない状態から数億円用意しろと言われたり、罠にハメられかけている女の子を見逃せずに大学生とポーカー勝負をしたりとギャンブル以外の所で結構色んな災難に遭っており、その状況に至るまでの部分も含めてかなり面白いです。
変な独自ルールのゲームとかもあまり出てこないので、どの勝負も真正面からの心理戦なのが読みやすさに繋がっている所でもありますね。
また、株の仕手戦(雑に言うと金の力で株価を操作して利益を得ようとする戦い)や次の政権を巡る政治家同士の駆け引きなど、ギャンブルでは無いけど大きなお金が動くことになる案件なんかにもエピソードが割かれており、そんなこともあるんすね~と勉強になります(古い情報かつこんな漫画の話なので話1/12くらいで聞いた方が良いとは思いますけど)。
人間味はやや薄いかも
主人公の森田はここぞという時に勝負強く、人情があり、機転も効き、引き際がよく、フィジカルも強く、女の子にもモテるという超人なのですが、銀さんに拾われたのが「競馬で負けてたから」くらいのさっぱりした理由であり、めちゃくちゃ借金があって死に物狂いで賭け事しなければならない!とかでもないので、キャラクターとしての設定が薄い印象を受けました。
当然その師である銀さんもやはり、常に人の二手三手先を読み続けているので浮世離れしている感じです。負けたらアカンキャラクターとして描かれているから常勝になるのも仕方ないのですが、この二人が主人公として動く関係上、カイジほど「頑張れ!」って感情にはなれませんでしたね。
最後の方、特に神威編は失速気味
殺人鬼との1on1やら大学生相手のポーカーやら、色々な死線をかいくぐって来た森田にさらなる脅威が襲い掛かるのが後半の神威編なんですが、この神威編が個人的には一番微妙に感じました。
まず心理戦とかがあんまりないです。神威編の全体を要約すると「銃を持った危ないおじさん達に森田達が襲われる話」なんですが、それまでの騙し騙されみたいな話からはかなり距離があります。何なら危ないおじさんと殴り合いになった時に「心の強さが違ェ!」みたいになって森田がボコられるというシーンがあるのですが、バキがドリトライでやってほしい気持ちでいっぱいになりました。カーペットをひっぺがして敵を倒すシーンは面白かったです(素手で銃を持った敵を倒すという状況のカッコよさに対して、1ページまるまる使って全力でカーペットを引っ張る森田がめちゃくちゃカッコ悪くてウケるので)。
そして、ダラダラと知らんおっさん達の身内話が続くわりに、結末が異常にしょっぱいのも微妙に感じる大きなポイントです。漫画の流れとしてはこの事件をきっかけに、森田が自身の無力さを痛感したり、金で全てを解決する世界に居続ける恐怖を感じて電撃引退を決めるので、必要な話と言えるのかもしれませんが、いち読者である私からすると特に感情の移入のしようが無い人達がバタバタと死んでいくだけの話でしかなかった印象です。
まぁ、小さい頃から兄弟で競争させられて悲しかったんだ!って言う悪役よりも地下で人を飼って狂わせるのが趣味の老人が先に出てきてるのが悪いと言えばそうなんですけど。。。
おわりに
という訳で今回は福本伸行作品の傑作「銀と金」を全巻読んだ感想でした。
絵の上手さとかを期待して買う漫画でないことは作者からも明らかだと思いますので、騙し騙され裏の裏の裏みたいな漫画を読みたい人は買ってみてください。
そして森田が「この男の「思い」に勝てるはずがない」とボコられるシーンで感動してください。