
枝と申します。
凄く面白いRPGゲームの「Clair Obscur: Expedition 33」ですが、全てを細かに解説してくれるタイプのゲームではありませんので、未だに各種設定・展開についてああでもないこうでもないと議論が起こっています。
ということで今回は、筆者が個人的に感じた謎などを、インターネットの情報や作中の描写から推測していきます。
目次
時系列で見るストーリー雑解説

このゲームのストーリーはある程度雰囲気だけで理解できるものの、誰が何をしたくてどんな行動を取っているのかはある程度自分で整理しなければなりません。という事で下記にまとめてみます。
登場人物(デサンドル一家)について
・ アリーン(母)=ペイントレス
ヴェルソの死に深く悲しみ、彼が残した遺品とも言えるキャンバスに閉じこもって偽物の家族と共に暮らし続けようとする。偽ルノワール、偽ヴェルソ、偽クレア、偽アリシア、ルネやシエルのようなキャンバスの人々を作成。
・ルノワール(父)=キュレーター
アリーンを現実世界に引き戻したいのでキャンバスを破壊しようとしたところ(これが67年前の「崩壊」にあたる)、アリーンにモノリスの底へと幽閉される。ヴェルソの死を乗り越えて家族は前に進むべきだと思っている。
・故ヴェルソ(兄)=偽ヴェルソ
火事でアリシアをかばって死んでしまう。キャンバスの中で出てくるのはアリーンが作った偽ヴェルソ。自分が偽物であることは早い段階で吹き込まれていた模様。キャンバス世界が生きているのは故ヴェルソの魂的な物(顔の無い少年)がキャンバスを「描き続けている」からであり、彼に世界の描写をやめさせるか、続けさせるかがエンディングの分岐となる。
・クレア(姉)
一番現実を見ている。現実世界ではヴェルソが死ぬ要因となった火災の犯人を捜しており、ルノワールに諸々の手伝いをしてもらいたいのでさっさとアリーンをキャンバスから追い出して喧嘩をやめさせたいと思っている=ルノワール側。絵画の世界ではアリーンの描いた偽クレアを上書きし、ネヴロンを生み出し続けさせている。ネヴロンが人を殺すとクロマが死体に残留する=アリーンの元に帰って行かないので弱体化させられ、いずれは弱ってキャンバスから出ていくでしょ、という寸法。冷酷な完璧主義者のような印象を受けるが、このキャンバスで昔からヴェルソと遊んでいたので悲しみは家族同様ひとしおのはず。
・アリシア(主人公)=マエル
火事で顔に酷いやけどを負い、声を失う。現実世界では引きこもりがちの暗い性格だったようで、ヴェルソの死に対しても負い目を感じている。アリーンとルノワールがキャンバスから出てこないので自分もキャンバスに入り込むが、その際に記憶を失って「マエル」としてキャンバスでの人生を送る。現実に絶望してる+キャンバスで16年間生活してしまったもんだからキャンバスに留まりたくなってしまう=キャンバスを削除したいルノワールに敵対。
ちなみにデサンドル一家はキャンバスに入ったりキャンバスの中で生命体を生み出したりできる不思議な一家で、現実世界すらも「描く」ことで思いのままにできる(火事の跡を描いて直したとあるので)。アリーン、ルノワール、クレア、アリシアは絵画の世界に干渉できる生身の人間なので「ペイントレス」と呼ばれる。これが序盤のミスリードに繋がっている(ペイントレスはモノリスの数字を書きかえる悪者の固有名詞のように表現されている)。
キャンバス内で使われるマナ的な物がクロマ。キャンバス内に存在しているクロマは総量が決まっている。
起こった事を時系列順にまとめてみる
・幼ヴェルソ、生きたキャンバスを描く。この際にジェストラルやグランディス、エスキエ、モノコなどを生み出し、キャンバス内に自身の魂的な物(=顔のない少年)を残す。クレアとヴェルソはよくこのキャンバスで遊んでいた様子。アリシアも入ったことくらいはありそう(オスキオの召喚方法を知っている為)。
・火事が起きる。 ヴェルソはこの火事で死んでしまう。アリシアも顔に酷いやけどを負い、声を失う。この火事はデサンドル一家のような「画家」に敵対する「作家」によるものとされているほか、アリシアがこの「作家」に利用されたのも原因の一つとされている。クレアはこの火事の真相を追っている。詳細は不明なのでDLCとか続編に期待っぽい。
・ アリーン(母)、悲しみに暮れてヴェルソの残したキャンバスに引きこもり、偽の家族を生成。「喧嘩中だったので偽ルノワールを悪く描いた」とあるので、キャンバスに引きこもるまでにも家族の仲はギスギスしていたものと思われる。偽家族たちには不死の属性あり。ちなみにキャンバスに長いこと居ると健康被害が出るのでヤバい。
・ ルノワール(父)、アリーンを現実に取り返すため、キャンバスに入って世界ごと抹消しようとする。これが「崩壊」。しかし、アリーンに阻止されモノリスの底に幽閉される。アリーンは逆にルノワールによってモノリスのてっぺんに幽閉される。とはいえアリーンはキャンバスに引きこもりすぎて健康を害しつつある+先述の通りクレアの妨害も受けているので、力が弱まって追放され、ルノワールがキャンパス全体を抹消してしまうのは時間の問題である。ゆえにアリーン、抹消を食い止められるのはこれが限界っす的なニュアンスでモノリスに数字を描き始める。これはアリーンの描いた古いものから抹消される=長寿の人間から消えてしまう、という意味合いで年齢とリンクしている考え方がしっくりくる。
・崩壊によって世界が急にぶっ壊れたので絵画世界の住民たちはとりあえず生き残っている人を探したりしつつ、デカい数字が描かれたモノリスに行ってみる。偽ヴェルソ・偽ルノワール・シモンなどが記念すべきこの第0遠征隊。その際モノリスまで無事に辿り着いたので(恐らく)クレアから「君らは絵の人物ですよ~」と真実を伝えられ、偽ヴェルソ・偽ルノワール以外の遠征隊メンバーは死んで(殺されて)しまう。
・ちなみに第0遠征隊のシモンは偽クレアとラブラブ。だったが、本物のクレアに騙されて偽クレアを奪われたうえ、アクソンを倒せる強大な力とモノリスに入る力を与えられる。そして実際にアクソンを倒し、その後アリーンに出会い、ルノワールの監禁されているモノリスの底へ向かわされ、ルノワールの強大な力によって精神汚染を受けてしまった。そんな展開があるので、第0遠征隊としてモノリスに到着した偽ヴェルソ・偽ルノワールに真実を伝えたのはクレアなのではないかと予想する。なお、クレアがなぜルノワールの作ったアクソンを倒させたのはいまいち謎。クレアはアリーンキャンバスから追い出したい派=ルノワール寄りのはずなのに。
・偽ルノワールと偽ヴェルソ、方向性の違いで離別。偽ルノワールは自分を生み出したアリーンと共に暮らす為、アリーンを倒しに来る遠征隊を倒すように。なお、偽ルノワールが殺した人はネヴロンに殺された人と違って霧散=クロマが世界に還元されるのでアリーンの力を弱めないと思われる。逆にヴェルソはちょこちょこ遠征隊に参加するように。この時点で既にヴェルソは真実を知っているので、アリーンを追い出してルノワールにキャンバスを消させたい=現実の家族を救いたい側だった模様。
・ アリシア(主人公)、父母がキャンバスから出てこないので自分もキャンバスに入るが、その際にアリシアとしての記憶を失い、マエルとして生を受ける。
・ マエル16歳になり、第33遠征隊に加わる。そしてお話の通り。第33遠征隊はアリーンを倒す=キャンパスから追い出す=ルノワールの目論見の通り動いている。キュレーター=ルノワールが手助けしてくれるのはそのせい。キュレーターはアリーンと戦ったり世界を抹消したりで消耗したルノワールの弱い分身的な存在と思われる。再三になるが、海岸で出てきたのはアリーンの作った偽ルノワールなので、アリーンを倒そうとする遠征隊の邪魔をする。
・ラストシーン、現実世界に絶望しているのでこのままキャンバスの世界で生きていきたいアリシアvsアリーンやアリシアをキャンバスの世界から現実に引き戻したいルノワールの戦いになる。ヴェルソはキャンバスの世界に長く居続けて健康被害が出てしまったアリーンの姿を見て、アリシアにはそうなって欲しくないという思い+偽物の世界で生き続ける悲しみに耐えかね、キャンバスを終わらそうとする。
細かい謎色々

火事はなぜ起きた?
自然に起きた物では無く、明らかに人の手による放火が原因と読み取れる。クレアは「作家」に犯人が居ると踏んで現実世界で犯人捜しを行っている。ちなみにここでいう「作家」はデサンドル一家のような「画家」に敵対する組織と予想されるが、どういう理屈で敵対してるのかなどは謎のまま。
偽ヴェルソの行動理念
作中屈指の被害者でありつつ、自分の思いを幾重にも隠しているのでイマイチ真意が分かりにくい偽ヴェルソ。前提として彼の置かれた状況は下記の通り。
・アリーンに生み出される。
・第0遠征隊時、「君は本物ではない」としっかり言われてアイデンティティ崩壊
・本物では無いが現実の自分の死の悲しみを巡って家族が大喧嘩している事を知る
・本物じゃないので喧嘩に対しては誰にもどうにもできない
(何を言っても「でもアナタ偽物ですよね?」になってしまう)
・でも喧嘩のついでに自分の思い出のキャンバスがめちゃくちゃにされる
・しかもこの喧嘩は長引けば長引くほど現実の家族がボロボロになる
・どうにもならんので死んでみようとするけど死ねない(モノコとの好感度イベント参照)
これがアリシアが来るまでの展開ですね。結論から言えばヴェルソはアリーン追い出し派(ルノワール側)の考え方に基づいて行動していると読み取れます。自分の作った世界と世界の住民、そして自分自身が消滅することを知ったうえでなお、現実世界の家族を優先しようとしている訳です。
そうした考えの元でようやくアリーンをキャンバスから追い出し、ルノワールにキャンバスを抹消して貰えると思った矢先、現実のアリシアが「パパには帰るって言ったけどキャンバスに残るで^^」とか言い出したもんですから、助けてくれ、こんな人生嫌だ、というあの絶望的なセリフが出てくるという流れになるのでした。
なお、現実の故ヴェルソは音楽家になりたいけど画家として生きなければならないというジレンマを抱えていた模様で、これについてはオスキオ戦周辺のカットシーンで語られています。なぜ音楽家になれないと思ったのかについては細かい描写が余りないですが、「画家」「作家」のように「音楽家」という派閥が存在しており、そうそう変えられるような物でも無い世界線という予測も存在しているようです。
状態異常としての火傷強すぎない?
デサンドル一家全員のトラウマなので順当!(最悪)
白いネヴロンは何?
ネヴロンは基本偽クレアの制作物。偽クレアは一度アリーンが作った物をクレアが上書きしているので実質クレアの創造物。偽クレアの作ったネヴロンは人を襲うが、クレアが作ったオリジナルのネヴロンは戦う意欲が全く無い。幼いヴェルソとクレア、エスキエとフランソワはよくキャンバスで遊んでいたというので、その際に作られたオリジナル的な存在と思われる。
浮遊する水で花を守ろうとしたゴブル
①いかにもギュスターブの恋人ソフィーが転生したっぽい描かれ方に見えたが、そういう話は全く無いのでストーリーラインに変更があったけど残されている、いわば過去設定の名残的な物に思われる。
②抹消によって霧散したソフィーのクロマを原料に、偽クレアがゴブルを作ったので、ギュスターブから貰った大事な花を守ろうとしている的な想像。ロマンがある。
③空飛ぶ屋敷にいるゴブルも一輪の花を守っている+戦闘中に花を育てるので、お花が大好きなネヴロンという設定でクレアが描き出したのがゴブル、という可能性。
モノコとノコ
現実世界では犬。アリシア操作パートで確認できる。ヴェルソはよく一緒に遊んでいたのだろう。
オスキオについて
エスキエの対になる存在のオスキオ。幼いヴェルソのスケッチなので、アンパンマンに対するばいきんまんのようにシンプルな悪の存在にも思えるが、「お前は音楽家にはなれない」という、いわばヴェルソ自身の諦めを突き付けてくるため、彼自身の抱える悲しみや苛立ちの象徴でもありそう。「オスキオは世界を滅ぼすことにする。バイバイ。」という行動も、現実世界で変えたくても変えられない何かがあるヴェルソの諦めによる破壊衝動が表れているように思える。それはそれとしてクソ技。
倒した後、I'll be back...と言ってたのでいつ親指を立てるのか楽しみにしてたらめちゃくちゃ中指立てててウケた。エスキエはショック受けてるし。閑話休題。
キャンバスの外はホントに現実世界?
キャンバスの外も魔法的な能力がある世界なので、我々の生きている現実とは違った世界観と思われる。また、ヴェルソの死亡日が12月33日という変な日付になっていることも詳細の確認が必要なポイントの一つになっています。
絵画の世界と明かされるギミックについての賛否
ベルエポックな剣と魔法の冒険譚から、愛する人を失ってバラバラになりかけている家族の話に主題がシフトする本作。そのうえで結末はシンプルに二種類、マエルの勝利でキャンバスが存続するエンディングと、ヴェルソの勝利で現実のデサンドル一家がヴェルソの死と向き合うエンディングです。
前者はアリシアの空想的現実逃避、かつ健康被害のせいで永遠には続かない刹那の幸せとも取れますし、これまで冒険を共にしてきたルネやシエル、ギュスターブたちキャンバスの住人が幸せに暮らせるハッピーなエンディングとも言えます。後者は偽ヴェルソの願いを叶える為に一つの世界が消失する滅亡の物語とも言えますし、現実世界の悲しみを乗り越えて家族が進む再生の物語とも言えます。物の見方しだいで選択の意味合いが変わるというのがこのゲームのエンディング最大の特徴であり、プレイヤーがどう解釈するかにかかっています。
筆者の感想を強いて言うとすれば、いかんせんキャンバスの人々(ギュスターヴ、ルネ、シエルたち)への移入がしづらいという点があるので、一直線にエンディングに行くだけだとどうしてもヴェルソ側で物事を考えてしまいがちになるように感じました。キャンバスの住人であることを知ったルネやシエルがもっと世界の存続を願うシーンとかがあれば、マエルのエンディングにもより意味合いが生まれるように思えます。っていうかシンプルにマエルエンドの演出がホラーすぎるのが悪い気もします。もっと激しく咳き込むようになってるとかなら「あー、やっぱのめり込み過ぎちゃってるね~」くらいでバッドエンドっぽさは薄れたと思うんですけど……(筆者は初見でED見てる時、普通にビビって声出そうになりました)。
結論何が言いたいかと言えば、「どっちもハッピーエンドだしどっちもバッドエンドだよ」という白黒はっきりしない主張になってしまうのですが、それこそが「Clair Obscur」のタイトルを冠する所以なのではないでしょうか。
おわりに
という訳で今回は「Clair Obscur: Expedition 33」に関して筆者が個人的に感じた謎などを、インターネットの情報や作中の描写から推測してみました。
最初に言った通り作中で明言されていない要素が非常に多くありますので、考察と言えるほど根拠が強くないのはご認識ください。DLCとか続編とかで色々明らかになるのを楽しみにしておきましょうね。