
枝と申します。
amazonでセールになっていたので(いつもの)、「新のぞき屋」を全巻購入、読破した感想を書いていきます。
ちなみに「新のぞき屋」は「のぞき屋」という1巻完結作品の続編という立ち位置にはなっているのですが、「新のぞき屋」だけ見ても全然問題ありませんでした。「のぞき屋」もアマプラの読み放題に入っているので、読もうと思えばいつでも読めますね。
目次
「殺し屋1」との温度差は凄い
この記事にたどり着くような方々はかの変態名作「殺し屋1」を読んだことのある方だと思うのですが、同じ山本英夫が描いた漫画でも「殺し屋1」と「新のぞき屋」では、「狂四郎2030」と「ジャングルの王者ターちゃん」くらい温度感が違います。
具体的には「新のぞき屋」にはグロ描写が無く人は死にません。性的な描写と生理的な不快感を催す描写は同じくらいのレベル感で出てきますが、ヒロインのレイカを含む主人公サイドもガチの酷い目には合わないので、比較的安心してご覧頂けると思います。
人間臭さの清濁が凄い
「新のぞき屋」は依頼者ごとに話が分かれているので、区切りをつけて読みやすいのがステキなところなのですが、だいたいの話の流れはこんな感じになっています。
まず依頼者が見・聴・スマイル・レイカの所属するのぞき屋にのぞきの依頼を出します。そしてのぞき屋がターゲットをのぞき、見えた真実を依頼者に報告します。ちなみに大抵の場合はのぞく方ものぞく方だし、のぞかれる方ものぞかれる方なので誰が悪いとかはほぼ無いです。報告を受けた依頼者は安心したり、がっかりしたり、怒ったりと、知ろうとしたのに知りたくなかった事実に対して三者三様のアプローチを取ります。
のぞき屋が「のぞき穴に手を突っ込む」、つまり対象者に対して何か行動を起こすことは無く、あくまでものぞいた結果を報告するのみなのですが、その時の気分でなんかしたりはします。
そんなこんなの最終的な結果として、のぞきを依頼するようなコソコソした依頼者がのぞき屋のおかげで自分の人生と向き合うようになったり、残酷な真実が分かっただけで本質は何も変わらないという苦い結末だったりするのですが、どの話も良い方向・悪い方向の人間臭さが丁寧に描写されており、どこかで登場人物の心を分かろうとしてしまうんですよね。
「誰にも裏がある」というやや厭世的な雰囲気が濃いのは少しやり過ぎ感もありますが、見てはいけないと頭ではわかっている物を見ようとするのは全ての時代で共有の人間臭さなのだと思います。鶴の恩返しもそうですし。
実はちゃっかりボーイミーツガール
新のぞき屋における最初のターゲットであり、見が「のぞき穴に手を突っ込んだ」結果仲間になるのがヒロインのレイカなのですが、この作品は見とレイカのボーイミーツガール仕立てに作品が組み立てられています。
見にのぞかれて初めてこの世に存在できたレイカと、今まで誰にものぞかれてこなかったがレイカから真剣にのぞかれることになった見。「もっとその人の事を知りたい」「もっとその人に知ってもらいたい」という当たり前の恋心なのですが、それがのぞき・のぞかれという不器用な形で表現されています。
ちなみに見に対するレイカの矢印がぶっと過ぎて作中でもスマイルには気づかれてたりするのですが、見は自分がのぞかれるという経験が少な過ぎてこの恋心に全く気付けず、ガキとしてあしらいつつもパンツなどの見れるもんは見るぞという複雑な矢印だけを向け続けています。
どこか様子のおかしい見に対するレイカの恋模様がどのような結末を迎えるのか。自分の目で確かめてみてください。
見の悲しき過去?
見が義眼になったきっかけ、またのぞきの鬼になってしまった理由について明確に語られることはありませんでした。描写として存在するのは「手首を切られて出血しながら情事に及んでいる母親?をのぞいている見」の姿です。情報量が多いですね……
その辺がふわっとしたまま終わるので、ちょっと不完全燃焼感は否めない気もします。まぁレイカちゃんとスマイルが幸せになってくれればそれで……
前作「のぞき屋」について
前作の「のぞき屋」は読み切りレベルの短い作品なので、この作品との関連性はほぼありません。登場人物も別人なので、あくまで「新のぞき屋」の雰囲気というか、世界観が生まれるきっかけになった作品くらいに読むのが良さそうです。
マジでサクッと読めます。
おわりに
という訳で今回は漫画「新のぞき屋」の感想でした。
殺し屋1はダークな世界観にシュールなギャグが混じる変な漫画でしたが、それに比べると新のぞき屋はギャグとシリアスと恋のメリハリがしっかりある読みやすい漫画だと感じました。
殺し屋1を読んだことのある人は今すぐにでも買って読んでみてください。そして温度差で風邪をひきましょう。